【中間試案】 株式会社の業務の適正を確保するために必要な体制について,監査を支 える体制や監査役による使用人からの情報収集に関する体制に係る規定の 充実・具体化を図るとともに,その運用状況の概要等を事業報告の内容(会 社法施行規則第118条等)に追加するものとする。 (注) 監査役の一部の選任に関し,株主総会に提出する議案の内容を従業員が決定す るものとするかどうかについては,なお検討する。 |
【意見】 反対。 【理由】 既存の規定で十分、かつ、事業報告による開示は負担の割に効果が薄い。 同じ負担をかけて開示を強化するならば、有価証券報告書によるべきである。 【説明】 監査を支える体制・監査役による情報収集に関する体制は、いずれも法381条2項や会社法施行規則100条に規定済であり、これ以上の規定の充実・具体化は効果が薄い。 また、その運用状況の概要の開示が必要なのは、主に株主が多数かつ流動的な会社、すなわち上場会社である。 そのような会社においては、有価証券報告書の「コーポレートガバナンスの状況」による開示が、対象者の広さ(公衆)・情報へのアクセスの容易さ(インターネット)・不適切な開示へのペナルティ、いずれにおいても事業報告による開示に優る。 【補足】 事業報告は、そもそも、執行サイドの自己評価である。 内部統制システムにPDCAが必要なのは当然であるが、その運用状況のレビューはPDCAの「C」であり、即座に次の「A」「P」のプロセスが続く。すなわち、内部統制システムの決議が見直される形で反映されるのである。 故に、事業報告には現在でも見直し後の決議内容が記載されることで運用状況のレビュー結果が反映されているはずであり、それで十分である。決議見直しに至るレビュープロセスまでを記載せよというのは過剰であろうし、しょせん自己評価を強化しても意味はない。 一方、監査役は内部統制システムの適正性を監査しその評価を監査報告に記載する。 監査を支える体制に問題があれば、監査役が監査報告でそれを指摘すればよいのであり、事業報告による開示は意義が乏しい。 |