4.取締役及び監査役の責任の一部免除



「オリンパスの監査役も責任限定契約を締結できる」と具体的に言えば、多くの人が違和感を感じるのではなかろうか。
(但し、会計不祥事に直接関与した監査役ならば悪意なので、責任限定契約による保護は享受できないが)




【中間試案】
取締役及び監査役の責任の一部免除
(1)のA案(注:2.社外取締役・社外監査役の要件見直し)のような見直しをすることとする場合には,次のとおりの見 直しをするものとする。
@ 会社法第427条第1項に定める契約(責任限定契約)を締結する ことができる取締役及び監査役は,次のとおりとするものとする。
ア 取締役のうち,株式会社の業務執行取締役若しくは執行役又は支配 人その他の使用人でないもの
イ 全ての監査役
A @アの取締役に係る最低責任限度額(会社法第425条第1項)の 算定に際して,職務執行の対価として受ける財産上の利益の額に乗ず べき数は,「2」とするものとする(同項第1号ハ参照)。




【意見】
反対。現状よりむしろ限定し(現在会社法施行規則で規定されている「社外役員」を法本体に取り込み)、「社外役員」である社外取締役・社外監査役のみとすべきである。

【理由】
業務執行への関与ではなく、「利益相反の類型的・構造的おそれ」基準により判断すべきである。
【説明】
案のように非業務執行取締役に対象を拡大すると、例えば、業務非執行でさえあれば、親会社が派遣した取締役や大株主である取締役など、強大な発言力で経営を暗にコントロールし得る者が含まれることになる。
また、監査役であれば、(オリンパスの例があるように)経営に極めて近い者が含まれることになる。
このような者にも責任限定契約を認めることは、「(1)のA案」のように社外役員の要件を厳しくする方向性と相反するものである。
この問題こそ、業務執行への関与をメルクマールとするのではなく、「利益相反の類型的・構造的おそれ」基準を採用すべきである(前記2.の補足1参照)。
また、「社外取締役」・「社外監査役」は形式基準であり、会社が「社外役員」として扱う意思のない者を含む。故に、責任限定契約は、会社が「社外役員」として扱う意思のある役員のみに限定すべきである(現在も会社法施行規則で、責任限定契約を締結した「社外取締役」・「社外監査役」を「社外役員」としている。これを会社法本体に取り込むべきである(前記2.も同様))。
(但し、現案においては、社外要件見直し後も大株主である役員は社外役員から排除されず、「利益相反の類型的・構造的おそれ」は残る。)






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